「ひげを理由に低評価」は二審も違法と判断
ひげをそらなかったことを理由に不当に低い人事評価を受けたとして、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の運転士2人が、市に慰謝料など計約450万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、市に計44万円の支払いを命じた1審・大阪地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却しました。ひげを禁止する市の身だしなみ基準に一応の必要性・合理性は認めたものの、ひげを理由に減点評価したのは「裁量権の逸脱で違法」と判断しています。
1審の事案の概要は、被告及び被告の前身である日本郵政公社が、原告のひげ及び長髪という外貌を不利益に考慮して、原告に対して、マイナスの人事評価に基づく賃金カット及び職務担当に関する差別を行い、また、被告の職員である上司らにおいて、郵政公社職員のひげ、長髪が身だしなみ基準に違反しているとして、月に1回以上別室に呼んで個別の対話指導をするなどした上司の行為が、職員に対し義務のないことを繰り返し要求したもので、これらの行為はいずれも違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項又は人事権を濫用した不法行為に基づき157万5600円の損害賠償並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年1月27日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案です。