東京地裁で就業規則の最低基準効が適用認定されました
神奈川県内の運送会社で働く労働者が未払賃金の支払いを求めた裁判で、東京地方裁判所は同社に240万円の支払いを命じました。給与規定は基本給と歩合給でと定めていましたが、労働契約では、1カ月の売上げの一部から「時給額で計算した基本給」などを控除した、歩合給のみを支払うこととなっていたました。各人と締結する労働条件通知書に明示した歩合給は運賃収入の30~40%の範囲内で会社が決定するとしていました。東京地方裁判所は就業規則の最低基準効により、歩合給とは別に本給を支払う必要があると指摘し差額賃金の請求を認めたものです。
最低基準効とは、就業規則の最低基準効というのは、労使間の労働契約において、就業規則の定める基準に達しない労働条件が無効となるという効力のことです。
本判決は、就業規則の最低基準効(労働契約法第12条)を適切に適用し、会社側の一方的な賃金算定方法を制限した点で妥当であり、労働者保護の趣旨に適う内容と思われます。就業規則に「基本給は本給と歩合給から構成する」と定めながら、実際には歩合給の中から時給相当額を控除し、その残額のみを「業績給」として支給するという運用は、就業規則の最低基準効に反する行為と考えられます。この点を裁判所が明確に否定し、歩合給とは別に本給の支払いが必要であると指摘したことは、歩合給中心の不透明な賃金体系の是正に向けた重要な裁判例になるのではないでしょうか。
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