人的資本情報の開示が一本化へ ~経営戦略と連動する情報開示へ~
金融庁は、有価証券報告書における人的資本関連の開示項目について、開示様式の見直しを行う方針を発表しました。
この改正では、従来別々に記載されていた「従業員数や勤続年数等の情報」と、「サステナビリティ情報としての人的資本関連情報」とを一本化し、経営戦略と人材戦略の関係性を投資家が把握しやすくすることを目的としています。
これまでの人的資本情報の開示では、法令上求められる定量情報(従業員数、平均年齢、平均勤続年数等)と、任意開示の要素が強かった非財務情報(人材育成、ダイバーシティなど)が別々に扱われてきました。
今回の改正により、それらが一本化され、女性管理職比率や男女の賃金差の人的資本開示への統合、従業員の平均給与の増減率の記載義務化(これまでは単年度の実額のみ)も加わる見通しです
これにより、企業の人材戦略の変化や成果を時系列で可視化しやすくなり、投資家が企業の成長性・戦略との整合性を判断しやすくなることが狙いです。
金融庁は2025年内に内閣府令を改正・施行し、2026年に提出される3月決算企業の有価証券報告書から新様式での記載が求められる見通しです。対象企業にとっては、実質的に1年未満で準備を進める必要があります。
人的資本情報の開示は、単なる“開示義務”ではなく、経営戦略と人材戦略の連動を通じて、企業価値の向上を図るための重要なプロセスです。すでに人的資本の開示を戦略的な文脈で行ってきた企業にとっては、今回の改正が大きな負担になることはないでしょう。
むしろ、「本質」に即した対応をしてこなかった企業にとっては、今後の開示において大きな見直しと準備が必要となります。
単なる形式的な数値羅列ではなく、「自社の経営戦略に基づき、どのような人材像を描き、どのように育てているのか」というストーリーとしての人的資本情報が、今後さらに求められます。
金融庁の改正の方向性は、まさに本来あるべき人的資本経営の姿を求めるものです。
今一度、人的資本政策の根本的な目的に立ち返り、実効性ある情報開示に取り組むことが、企業価値の向上にもつながるでしょう。
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