労働経済動向調査の概況について
厚生労働省が発表した最新の労働経済動向調査によると、令和7年の夏から秋にかけて、正社員の雇用は全体として増加の方向にありました。特に学術研究や専門サービス、製造業、不動産業などでは採用を増やす動きが強まっており、今後もプラス基調が続く見通しです。情報通信業や不動産業では秋以降さらに拡大が見込まれ、幅広い業種で人材確保への意欲が高まっています。一方でパートタイム労働者の雇用は全体として横ばいにとどまり、宿泊・飲食業など一部では増加の兆しがあるものの、医療・福祉や金融保険では逆に抑制の傾向が見られました。
8月時点での労働者不足の状況をみると、正社員については全体で「不足」との回答が大きく上回り、とりわけ建設業や情報通信業、運輸業、専門サービス業などで深刻化しています。パートタイム労働者でも不足感が強く、宿泊・飲食、卸売・小売、生活関連サービスなどで人手が足りない状況が鮮明になっています。
人材不足に対応するため、多くの企業が動きを強めています。最も多いのは中途採用の拡大で、次いで新卒採用の強化やパート・臨時の採用、さらには賃金改善など待遇の見直しが続きます。加えて、定年延長や再雇用の導入、勤務制度の柔軟化、業務の効率化や外注化といった工夫も進んでおり、企業が多角的に対策を取っていることがうかがえます。これに対して、人が余っていると答えた部門は少なく、対応を行った割合も一割に満たず限定的なものでした。
新卒採用の状況をみると、令和6年度に正社員の募集を行った企業は全体の6割程度で、そのうち半数は年間を通じて随時募集を実施しています。一方、春のみに採用を行った企業も一定数あり、その今後の方針については「未定」とする回答が最も多く、従来型の採用スタイルを見直すかどうか企業が模索している段階にあります。
こうした結果から見えてくるのは、企業にとって採用活動の多様化と柔軟性が今後ますます重要になるということです。中途や新卒の採用だけでなく、通年採用や外部人材の活用、さらには既存社員のスキル開発や待遇改善による定着促進が鍵となります。また、部門ごとの人手不足と過剰の偏りを是正するために、配置転換や業務効率化を進めることも欠かせません。そして長期的には、外部人材の獲得競争に依存するだけではなく、自社で人を育てる体制を整え、社員が安心して働き続けられる職場環境を築くことが、持続的な成長への道筋につながると思われます。
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