2026年施行「企業価値担保権」と指針見直しの動き
厚生労働省は、2026年5月25日から施行される「事業性融資推進法」に対応するため、事業譲渡に関する指針の見直し案をまとめました。この法律は、企業の将来性や強みといった無形資産に注目した融資を増やすことを目的としており、その中心となる仕組みが「企業価値担保権」です。
企業価値担保権とは、企業がもつ人的資本やノウハウ、知的財産、顧客基盤といった目に見えない資産を含め、事業全体を担保として扱えるようにする新たな制度です。これまでの融資では、不動産や機械などの有形資産を担保にするやり方が主流で、無形資産を多く持つ企業はどうしても融資を受けにくいという課題がありました。また、有形資産の担保に依存するため、債権者が企業の事業内容や経営改善に深く関わらず、十分な支援が行われにくいという問題も指摘されていました。
こうした課題を解決するため、政府は2024年3月に事業性融資を促すための法案を閣議決定し、5月には衆議院を通過、6月には参議院で可決しました。企業価値担保権が導入されれば、金融機関は企業の事業そのものを評価し、将来の可能性を重視した融資を行いやすくなります。結果として、成長意欲のある企業が必要な資金を確保しやすくなり、債権者も事業の継続や改善にこれまで以上に関心を持つことが期待されています。
一方で、事業価値をまるごと担保に取る仕組みである以上、担保権が実行される際には事業の譲渡や再編が行われる可能性があります。その際に事業が分断されたり、雇用が不安定になったりしては本末転倒です。そこで厚生労働省は、事業が譲渡される場合には基本的に事業を解体せず、雇用を維持することを原則とする方向で指針を見直しています。さらに、事業譲渡の過程では裁判所が選任する管財人が、労働者や労働組合としっかり協議を行うことも盛り込まれました。企業価値担保権が事業の健全な継続と矛盾なく機能するための枠組みを整える狙いがあります。
無形資産が企業の競争力の源泉となる現代において、事業全体の価値を融資に活かす企業価値担保権は、日本の金融のあり方を大きく変える取り組みです。今回の指針見直しは、その制度を現場にしっかり根付かせ、企業と働く人々の双方にとって望ましい形で活用していくための重要なステップといえるでしょう。
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