カスハラ対策の指針素案示されました
厚生労働省は17日、カスハラをめぐる指針の素案を取りまとめ、労働政策審議会の分科会に示しました。背景には、来年中に企業へカスハラ防止策の整備が義務づけられる見通しがあることがあります。国が先に「どこからがカスハラなのか」「企業は何を備えるべきか」の共通ルールを示すことで、各社が具体的な体制づくりに早めに着手しやすくする狙いです。
素案で示された定義はシンプルに三本立てです。第一に、職場で行われる顧客などの言動であること。第二に、社会通念上、許される範囲を超えていること。第三に、その結果として労働者の就業環境が害されること。この三つをすべて満たす場合にカスハラと位置づける、という考え方が整理されました。なお「職場」といっても会社の中だけを指すわけではありません。取引先と打ち合わせをする飲食店、訪問先である顧客の自宅など、業務を行う場所なら広く職場に含まれるとされています。現場の実態に合わせ、カスハラの範囲をきちんと捉えようという意図が読み取れます。
一方で今回の素案は、「苦情=カスハラ」ではない、という点を強調しています。社会通念上の範囲で行われる正当な申し入れは当然カスハラではありませんし、障害のある人が社会的障壁の除去を求める意思表明なども対象外です。こうした場合、企業側は合理的配慮を行う必要があることに注意を促しています。つまり、従業員を守るための線引きを明確にする一方で、正当な声や支援を必要とする申し出を排除しないバランスを取ろうとしているわけです。
さらに、カスハラ対策をすべての企業に義務づける改正法について、施行日を令和8年10月1日とする案も示されました。法改正と指針がセットで動くことで、現場の混乱を減らし、企業の取り組みを一気に進める設計になっています。これから企業に求められるのは、定義や典型例を踏まえつつ、相談窓口の整備、対応手順の明確化、従業員への教育・周知、発生時の組織的なサポートなどを用意し、個人任せにしない仕組みを作ることです。顧客対応の最前線が疲弊しないための「土台づくり」が、いよいよ本格化していきそうです。
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