同一労働同一賃金ガイドライン、退職金・住宅手当などを明確化へ
厚生労働省は、正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じる「同一労働同一賃金ガイドライン」の見直し案を公表し、労働政策審議会の部会に示しました。これは2020年施行の働き方改革関連法の「5年後見直し」規定に基づくもので、指針改定は初めてです。案は年内に部会で取りまとめられ、年明けに審議会の諮問・答申を経て告示される見通しで、企業実務への影響は2026年度以降に本格化するとみられます。
見直しの背景には、制度施行後も退職金や各種手当、休暇の扱いをめぐる訴訟が相次ぎ、最高裁が「待遇の目的や性質に照らして説明可能か」を軸に判断を積み重ねてきたことがあります。現行指針は基本給や通勤手当などを中心に整理していたため、企業側が迷いやすい領域について、司法の考え方を明文化して予防的に示す必要が高まっていました。
見直しの柱は、最高裁判決で待遇差の合理性に関する判断枠組みが示された項目を指針に追加し、判断のポイントと問題になり得る例を整理する点です。新たに盛り込む対象は、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、褒賞などで、現行指針で手薄だった生活・長期雇用に関わる処遇に踏み込みます。
退職金については、職務内容や責任、配置転換の範囲、キャリア形成の仕組みなどに照らし、差が不合理と認められる場合があり得ると明記します。住宅手当は、正社員と同様に転居を伴う配置変更があるなど支給目的が同じなら、同一の手当を支給しなければならないと整理しました。家族手当や無事故手当、季節休暇、褒賞についても、制度の目的と働き方の実態が同じであれば、雇用形態のみを理由に差を設けることは合理的な説明が難しいという司法判断を反映します。
同一労働同一賃金は、待遇ごとに目的・性質を点検し、職務や人材活用の違いが説明できない格差を是正する制度です。今回の改定は、企業慣行の色が濃い退職金や住宅手当にも同じ物差しを適用し直すことで、運用の精度を高め、非正規の待遇改善を後押しする狙いがあります。企業には賃金・手当設計を職務や役割ベースで再検証し、社内外に説明できる制度へ改める姿勢が一段と求められそうです。改定後は、待遇差の根拠を就業規則や制度趣旨として整理し、説明資料を整えることが、日常の人事運用でも重要になります。
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